都市計画で定められる主なもの
たくさんの人が居住する都市では、例え個人が所有する敷地でも無制限に利用することは、公共の福祉の観点から望ましくありません。
また、国や地方公共団体には住民が健康で文化的な生活を送れるように街の機能や環境を一定レベルに確保し、整備することが求められます。
そのルールの一つとして、それぞれの都市の節度ある発展と整備の共通制度として、1968年に制定されました。
規定ではまちづくりの目的に応じて、都市を健全に発展させることを目指しています。
具体的な規定内容は、都市計画の内容や意思決定手続、一定のプラン制限、都市作りプラン、その他所要の事項を定めています。
都市計画の対象とされる区域
都道府県の権限で決定される都市計画区域は一定の要件に当てはまる市街地を含む地域で、一体性を持つ都市としてトータルな視点から整備し、開発することが公共的に求められる区域です。
都市計画区域のエリアと市町村の区分とは直接リンクせず、2以上の市町村に跨るケースもあり、反対に1つの市町村が複数の都市計画区域に分けられるケースも珍しくありません。
都市計画の性格から、原則的に人口が10,000人に満たない小規模の町村や多数の人が農業・漁業など第一次産業に従事する自治体では都市計画区域として指定されるケースはありません。
また、数字を見ると2015年3月末時点で都市計画区域は、日本の国土面積全体の4分の1強の約1,020万ヘクタールですが、人口の95パーセントが当該区域内に居住します。
2つに分けられた指定区域の違いや区分け
都市計画における指定区域は市街化区域と調整区域の2つに分けられ、これを「線引き」と呼びます。
首都圏整備法などによる規定で、一定の規模を持つ都市部はこの「線引き」が義務付けられるのですが、実際には都道府県の決定に任せられており、なされていない区域も珍しくありません。
市街化地域は、既に市街地となっている区域を指し、10年以内にプランを立ててプライオリティに応じ、市街化を図る区域とされます。
一方の市街化調整区域は、市街化が進まないように利用を制限するために指定された区域を指します。
市街化調整区域に建築物を建てるにあたっては都道府県の建築許可を受けなくてはいけませんが、これには審査がありますので、許可される保証はありません。
そのため使い勝手の悪い土地とみなされ、地価を下げる原因になります。
土地を買う場合には、土地に建てる建築物に制限がかかるケースがありますので気を付ける必要があります。
都市計画の区域区分の内容と例
東京23区の都市計画の区分を例に挙げると、都心部を流れる主な川の河川敷以外は全域が市街化区域に指定されます。
ところが、日本全体から見るとこれは特異な例で、同じく都市化が進む横浜市でも市街化区域は市全域の25パーセント程度に過ぎず、残る4分の3は市街化調整区域と意外に広いのです。