賃貸収入に対する金融機関への返済額の比率
不動産賃貸事業を行う上で考慮すべき重要なコストは、借入金の返済額で賃貸物件から得られる家賃収入額に対する借入金返済額のウエィトを返済比率と呼びます。
出来るだけ借入金返済の負担を軽くし安定的な不動産経営を目指す上で、返済比率の数値を如何に捉えるかを整理します。
ロ-ンの返済比率が低ければ、賃貸事業は安定した状況にあり、キャッシュフローも収益も順調といえます。
この状態が維持できれば、もし、空室が発生して家賃収入が少なくなったり、急に修理コスト等の臨時出費が生じたりしても、家賃収入でローンの返済を賄うことが可能です。
賃貸不動産投資で利潤を得るためには、可能な限り低い金利で金融機関から借り入れ、割安な物件を購入することがポイントです。
逆にローン返済比率が高いケースは、安全な賃貸経営とは言えません。
予定していなかった空室の発生や臨時の修理費等の出費が発生すると、家賃収入のみでのローン返済が困難な状態となり、個人の資金を持ち出して返済せざるを得なくなる危険があります。
つまり金融機関の融資に頼った割合が高い状態とも言え、予想外の悪い事態が重なれば、賃貸不動産を売却せざるを得なくなり、清算するとマイナスだったというケースさえあるのです。
事例にみる返済比率
一般的に不動産賃貸での安定的な賃貸経営のための返済比率は50パーセント以下と言われ、理想的な経営プランを立てる際の目安とされます。
返済比率の事例について数字を挙げてみてみましょう。
(例1)5千万円のアパートに投資するケースで、利回り10パーセントの賃貸収入があれば、1年間の賃貸収入は5千万円×10パーセント=5百万円です。
この物件の購入に当たり、金融機関から全額をローンで5千万円を借り入れ、年利4.5パーセント、返済期間30年の条件であれば、1年間の返済金額は元金と利子の合計で約3百万円で、返済比率は3百万円 / 5百万円 × 100 = 60パーセントと算出されます。
60パーセントの状態は、40パーセントの余裕があり、想定外の急な空室や修理費が発生したとしても、手持ち資金で返済するという事態にはなりにくいです。
(例2)同様のケースで、返済期間をだけが長く35年であった場合、1年間の返済金額は約280万円です。
このときの返済比率は280万円 / 5百万円 × 100 = 56パーセントと算出され、安定経営の目安の数値である50%に近づきさらに余裕のある状態です。
あくまでも安定経営の目安値である
投資の意思決定の際に組んだ運営プランにおいて、返済比率が目安の50パーセントをクリアしていても、建物の経年劣化等による家賃収入や経費の変動が発生し、キャッシュフローや収益に大きな影響を与えます。
常にキャッシュをプラスに維持し自己資金の持ち出しをしないようにするため、返済比率を低く保ち、毎月のローン返済を低くしておくことが重要です。