マンションに居住する上で密接に関係する法律
区分所有法は分譲タイプのマンションに居住するに当たり、切っても切れないほど生活に密着した法律です。
この法律の概要は1つの建物の権利を複数に分けてそれぞれに所有権を持たせる際の、それぞれの持つ権利関係を整理・規定し、建物や敷地等の共有部の管理方法を規定します。
分譲タイプのマンションに関しては、区分された部分には各所有権者がいますが、それ以外の敷地や外壁、入り口のように、共同で所有し管理せざるを得ない部分があります。
それぞれ区分された部分は互いに繋がっており、トラブル防止の観点から、必然的に互いの権利関係を規定することが求められます。
区分所有法は、戸建て住宅では発生しない特有の事項をメインとして決められた法律です。
ここでは、区分所有法が制定され、現在の規定とされた経緯も含めて概観してみましょう。
法律策定に至る背景と経緯
実はこの基礎的な規定は古く、明治期に制定された民法でも、建物の一部の所有権という形式で、例外的に規定が設けられていました。
ただ、この段階では極、基本的なルールが定められたのみで、どの様な形態の建物について別個の所有権が認定されるのかが不明確な状況でした。
また、1950年頃までは分譲マンションの件数が少なく、特に民法のこの規定がクローズアップされることはありませんでした。
民法の当該例外規定は長屋形状の集合住宅を前提とした規定でしたが、近代的な中高層マンションが少しずつ増加し、またこれらにうまく当てはめられる例外規定ではありませんでした。
そのような背景のもと、1962年に現在の法律が成立しましたが、当初制度化された主要な点は次のとおりです。
1.建物の区分所有権として認められる対象建物の明確化、2.共用部分の範囲と所有権、3建物の管理者や規約、集会の3点です。
この法律が制定された当時は、時代の先端を規定する法律だと言われました。
しかし、1965年頃の日本の高度成長期に入ると、法律の対象となるマンションが次々と建設されました。
すると当初の法律の制定時は想定外だった各種の問題が浮き彫りとなり具体化しました。
例を挙げると、当時は建物専有部と土地をそれぞれ分けて登記するルールで、登記簿が極めて複雑な状況でした。
また、管理規定を作ったり改めたりするには、区分所有者全員の同意が求められたため、管理組合のスムーズな運営に支障がありました。
さらに、管理組合に関してははっきりしたルールがなくさまざまなトラブルが発生する事態が頻発しました。
1983年の区分所有法の大改正
その解決のため、1983年に主に2つの点で大幅な改正が行われました。
第1点は、専有建物部分と土地利用権を一本化させ、一体のモノとして権利移動が登記され、事務の簡素化と同時にマンションの各部屋の流動性にも資する事とされました。
第2点は、管理の仕組みの充実で、管理組合の当然の成立や多数決主義への移行、悪質な専有権者の排除の制度が設けられました。